バラの台木と接ぎ木の基礎知識|なぜ接ぎ木苗が主流なのか
バラの接ぎ木に使われる台木の種類と役割、接ぎ木と挿し木苗の違い、台木がバラの生育に与える影響を詳しく解説します。バラの苗木には大きく分けて「接ぎ木苗」と「挿し木苗(自根苗)」の2種類があります。園芸店やナーセリーで販売されるバラの大半は接ぎ木苗で、台木と呼ばれる別のバラの根の上に目的の品種を接いで作られています。

この記事のポイント
バラの接ぎ木に使われる台木の種類と役割、接ぎ木と挿し木苗の違い、台木がバラの生育に与える影響を詳しく解説します。バラの苗木には大きく分けて「接ぎ木苗」と「挿し木苗(自根苗)」の2種類があります。園芸店やナーセリーで販売されるバラの大半は接ぎ木苗で、台木と呼ばれる別のバラの根の上に目的の品種を接いで作られています。
関連品種
バラの苗木には大きく分けて「接ぎ木苗」と「挿し木苗(自根苗)」の2種類があります。園芸店やナーセリーで販売されるバラの大半は接ぎ木苗で、台木と呼ばれる別のバラの根の上に目的の品種を接いで作られています。なぜわざわざ別のバラの根を使うのか、台木の選択がバラの生育にどう影響するのか、ここではバラの根幹に関わるこの重要なテーマを詳しく解説します。
接ぎ木が主流な理由——台木が果たす役割
バラの接ぎ木が主流となっている最大の理由は、台木の強健な根が品種の弱点を補うからです。多くの園芸品種は美しい花を咲かせる一方で、根の活力が弱かったり、特定の土壌病害に弱かったりします。台木はこれらの弱点をカバーし、品種本来の力を最大限に引き出す役割を果たします。台木が担う役割は主に次のとおりです。
- 生長・花数:台木の根は生長が旺盛で水分や養分の吸収力に優れており、接がれた品種は自根で育てた場合よりも早く大きく成長し、花数も増える傾向がある。特にハイブリッドティーやフロリバンダなどの四季咲き品種は頻繁に花を咲かせるために多くのエネルギーを必要とするため、台木の旺盛な根が不可欠
- 耐病性:一部の台木品種は根頭がんしゅ病やネコブセンチュウなどの土壌病害に対する抵抗性を持っており、これらの問題がある圃場でもバラを健全に栽培できる
- 生産効率:挿し木では発根しにくい品種でも接ぎ木なら台木の根を利用できるため、ほぼ全ての品種の苗を安定的に生産できる。活着率も高く、苗の生産期間も短縮できる
日本で使われる主な台木の種類
| 台木の種類 | 特徴 |
|---|---|
| ロサ・ムルティフローラ(ノイバラ) | 日本の野生バラ。暑さ寒さに強く、多くの土壌に適応する。根が旺盛に張り接ぎ木の活着率が高いため、国内の苗木生産の大部分でこの台木が使われている |
| ロサ・ラクサ | ヨーロッパで広く使われている台木で、近年日本でも導入が進んでいる。ノイバラに比べて根からのサッカー(台木からのひこばえ)が少なく、接ぎ木部分が比較的きれいにまとまる。ただし日本の高温多湿な環境への適応性はノイバラにやや劣るとされる |
| ドクターヒューイ(Dr. Huey) | アメリカで広く使われる台木品種。根の活力が非常に強く、大型のバラを支える力がある。輸入苗にはこの台木が使われていることが多く、暗赤色の半八重花を咲かせるため、サッカーが出た場合に品種との見分けがつきやすい |
接ぎ木苗と挿し木苗(自根苗)の違い
挿し木苗は品種の枝から直接根を出させて育てた苗で、自根苗とも呼ばれます。台木を使わないため、サッカーの問題がなく、株元がすっきりとします。ミニバラや一部のオールドローズは挿し木苗で流通していることが多いです。
| 項目 | 接ぎ木苗 | 挿し木苗(自根苗) |
|---|---|---|
| 生長・花つき | 台木の旺盛な根が品種を力強くサポートし、植え付け1年目から見事な花を咲かせることが可能 | 初期の生長が接ぎ木苗に比べて遅く、開花まで時間がかかる品種もある(特に四季咲き大輪系は自根では力不足になることがある) |
| サッカー | 接ぎ木部分から台木のサッカーが出ることがあり、放置すると品種が台木に負けてしまうことがある | サッカーの心配がなく、管理がシンプル |
| 向いている品種 | 大輪四季咲き品種 | つるバラ、シュラブ系など生育旺盛な品種 |
挿し木苗はさらに、株が寿命を迎えるまで安定して品種本来の性質を維持できるという長所もあります。どちらが優れているかは品種と栽培目的によりますが、生育旺盛な品種(つるバラ、シュラブ系)は挿し木苗でも十分なパフォーマンスを発揮する一方、大輪四季咲き品種は接ぎ木苗の方が確実に良い結果が得られます。
台木からのサッカー対策
接ぎ木苗で最もやっかいなのが、台木からのサッカー(ひこばえ)です。サッカーは台木の根元や地中から伸び出す台木品種の新芽で、放置すると台木が品種を圧倒してしまいます。ノイバラ台木のサッカーは7枚小葉で、品種の5枚小葉と区別できます(品種によって例外あり)。
- 発見時:できるだけ根元に近い位置で切除する。ハサミで切ると残った部分からまた芽が出やすいため、土を掘って台木の根元からむしり取るのが理想的
- 予防:冬の植え替え時に台木の根を点検し、サッカーの芽が出そうな部分を除去しておく
自分で接ぎ木に挑戦する場合の基本
バラの接ぎ木は冬の休眠期(1〜2月)に「切り接ぎ」で行うのが一般的です。台木は前年に挿し木で育てたノイバラの苗を使います。
- 台木の準備:台木の茎を地際5cm程度で斜めにカットする
- 穂木の接合:品種の穂木(2〜3芽を含む枝)の基部を同じ角度でカットして密着させ、接ぎ木テープで固定する。台木と穂木の切り口にある緑色の組織(形成層)同士をぴったり接触させることが成功の鍵で、切り口は鋭利なナイフで一回でスパッと切り、断面を空気に長くさらさないよう素早く作業する
- 保湿:接ぎ木後は接合部を乾燥させないよう、湿らせたミズゴケで覆い、ビニール袋をかぶせて保湿する
- 活着の確認:2〜3週間で芽が動き始めたら活着成功。その後は徐々にビニールを外して外気に慣れさせる
ボタちょくで品質の高い接ぎ木苗を
ボタちょくでは、台木の品質にもこだわった接ぎ木苗を専門生産者から直接購入できます。使用している台木の種類や接ぎ木の方法について、生産者に直接質問できるのは安心感があります。品種の力を最大限に引き出す良質な苗を、ボタちょくで見つけてみてください。

