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全般| ✍️ ボタちょく編集部

植物を販売するときの法律|種苗法・植物防疫法・ワシントン条約・外来生物法の要点

植物の販売に営業許可は不要ですが、登録品種の増殖には育成者権者の許諾と「登録品種」表示が必要(種苗法)、輸入株は検査証明書と輸入検査が必須で土付きは禁止(植物防疫法)、サボテン・ラン・多肉の多くはワシントン条約掲載種、特定外来生物は販売禁止。農水省・植物防疫所・経産省・環境省の一次情報で整理(確認日2026年9月10日)。

この記事のポイント

植物の販売に営業許可は不要ですが、登録品種の増殖には育成者権者の許諾と「登録品種」表示が必要(種苗法)、輸入株は検査証明書と輸入検査が必須で土付きは禁止(植物防疫法)、サボテン・ラン・多肉の多くはワシントン条約掲載種、特定外来生物は販売禁止。農水省・植物防疫所・経産省・環境省の一次情報で整理(確認日2026年9月10日)。

関連品種

植物を個人や小規模の生産者が販売するときに関係する法律は、大きく分けて「品種の権利(種苗法)」「病害虫の侵入防止(植物防疫法)」「絶滅のおそれのある種の国際取引(ワシントン条約)」「外来種の拡散防止(外来生物法)」の4つです。動物と違い、植物の販売に「動物取扱業」のような登録制度はありません。その代わり、品種と輸入経路に関する義務が販売者にかかります。この記事は、農林水産省・植物防疫所・経済産業省・環境省が公開している一次情報をもとに整理しています(各情報の確認日:2026年9月10日)。

結論

  • 植物の販売そのものに営業許可や登録は不要です。ただし「登録品種」を増殖して売るには育成者権者の許諾が必要で、登録品種の種苗には「登録品種」であることの表示義務があります(種苗法)。
  • 海外から植物を輸入する場合は、量や用途にかかわらず輸出国の検査証明書を添えて輸入検査を受ける必要があり、土・土付きの植物は全面的に輸入禁止です(植物防疫法)。
  • サボテン科・ラン科・多肉植物の多く(ユーフォルビア属・アロエ属など)・ソテツ類・食虫植物の一部はワシントン条約の附属書に掲載されており、輸入時に輸出国の許可書などが必要です。国内で売買するだけなら条約上の手続きは不要です。
  • 特定外来生物に指定された植物(オオキンケイギク、ナガエツルノゲイトウ、ボタンウキクサ、オオフサモ、ミズヒマワリなど)は、栽培・保管・運搬・販売・譲渡が原則禁止です(外来生物法)。
  • ボタちょくの生産者認証は、栽培・増殖の実績と栽培環境を運営が確認するものです。登録品種の許諾や輸入時の検疫は生産者自身の責任で行ってください。

1. 種苗法:登録品種の増殖・販売・表示

登録品種とは

種苗法は、新しく育成された品種を「品種登録」によって保護する法律です。登録された品種には育成者権が発生し、権利者の許諾なしにその品種の種苗(種子・苗・挿し穂・株分けした株など)を増殖して販売・譲渡することはできません。品種登録されていない一般品種や在来種は、この制限を受けません。

自分が扱う品種が登録品種かどうかは、農林水産省の品種登録データベースで品種名を検索して確認できます。園芸品種名に「®」や「PVP」の表示がある場合は登録品種である可能性が高いので、必ず確認してください。

許諾が必要な行為

  • 登録品種を増殖(挿し木・株分け・実生・組織培養など)して販売・譲渡すること
  • 登録品種の収穫物や種苗を、権利者が指定した国以外へ輸出すること、指定した地域以外で栽培すること(令和2年改正で追加)

正規に購入した登録品種の株を、増殖せずにそのまま譲渡する行為は、原則として育成者権の効力が及びません(権利の消尽)。ただし、令和8年(2026年)の改正で「輸出目的での保管」や「海外で譲渡された種苗の逆輸入」には育成者権が及ぶことが明確化されています。

表示義務

登録品種の種苗を販売・譲渡するときは、「登録品種」の文字、または「品種登録」の文字と登録番号、またはPVPマークを表示する義務があります。海外持出制限や栽培地域の制限がある品種は、その旨も表示しなければなりません。表示を怠ると過料の対象です(現行10万円以下。令和8年改正で20万円以下に引き上げ、施行は令和8年12月1日)。

出品ページには、品種名を正確に書き、登録品種であれば「登録品種(品種登録第○○号)」のように明記してください。

罰則

育成者権の侵害は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金の対象になり得ます。海外へ持ち出されることを知りながら種苗を譲渡した場合も対象です。フリマサイトでの無許諾販売が摘発された事例が報道されており、「個人だから」「少量だから」という理由では免責されません。

令和2年改正と令和8年改正の要点

改正施行日内容
令和2年改正2021年4月1日海外持出制限・栽培地域指定の特例、登録品種である旨の表示義務
令和2年改正2022年4月1日農業者の自家増殖も育成者権者の許諾制に
令和8年改正2026年12月1日(一部は公布日)育成者権の存続期間を10年延長(25年→35年、永年性植物は30年→40年)、出願中の品種の輸出差止め、輸出目的の保管・逆輸入・リースへの権利の拡大、名称使用義務違反の過料引上げ

出典:農林水産省「種苗法の改正について」(https://www.maff.go.jp/j/shokusan/syubyouhou/)、同「種苗法の一部を改正する法律の概要」(令和2年・令和8年)。確認日:2026年9月10日。


2. 植物防疫法:輸入植物の検疫

輸入には検査証明書と輸入検査が必要

海外から植物を日本へ持ち込む場合、貨物・手荷物・国際郵便のいずれでも、量や用途を問わず、輸出国の政府機関が発行する検査証明書(Phytosanitary Certificate)を添付して植物防疫所の輸入検査を受ける必要があります。検査証明書がない植物は廃棄処分となり、検査を受けずに輸入した場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されることがあります。

全面的に輸入が禁止されているもの

  • 土、土付きの植物
  • 植物を害する検疫病害虫
  • 病害虫の発生国・地域と植物の組合せで個別に指定された輸入禁止品(品目ごとに植物防疫所の「輸入条件に関するデータベース」で確認)

海外の生産者から株を取り寄せる場合は、用土を完全に落とした状態で送ってもらい、検査証明書を同梱または外装に添付し、外装に「植物在中」「Plant」などと記載する必要があります。植物は小包郵便物・小形包装物でのみ輸入でき、届いた郵便物の外装に「植物等検査合格証印」がない場合は開封せず植物防疫所に連絡します。

販売者が確認すべきこと

輸入株を販売する生産者は、輸入時に検査を受けた株であることを説明できるようにしておいてください。植物防疫所は、フリマサイト・通販サイトで販売されている植物について、購入前に植物防疫法の規制がないか確認するよう呼びかけています。

出典:植物防疫所「植物を海外から日本へ持ち込む場合の規制」(https://www.maff.go.jp/pps/j/introduction/japanese.html)、同「郵便物」(https://www.maff.go.jp/pps/j/trip/yubin/yubin.html)。確認日:2026年9月10日。


3. ワシントン条約(CITES):附属書掲載種の輸入

附属書と手続き

ワシントン条約は、絶滅のおそれのある野生動植物の国際取引を規制する条約です。規制対象種は附属書I(商業目的の国際取引が原則禁止)、附属書II(輸出国の許可書があれば取引可能)、附属書IIIに分かれ、学名で記載されています。

日本へ輸入するには、輸出国のCITES管理当局が発行する輸出許可書等が必要で、種によっては経済産業大臣の輸入承認証(附属書I)や事前確認書が必要です。附属書Iの植物でも人工的に繁殖させた交配種は附属書IIとして扱われ、人工繁殖株には「A」などの出所記号が付きます。

園芸で関係の深い植物

サボテン科全種、ラン科全種、ソテツ類(ソテツ科・ザミア科)、ユーフォルビア属の多肉種、アロエ属(アロエ・ベラを除く)、パキポディウム属、シクラメン属、ウツボカズラ属(ネペンテス)、ハエトリソウ(ディオネア)、サラセニア属の一部などが附属書に掲載されています。アガベ属では、アガベ・パルビフロラ(附属書I)と笹の雪(アガベ・ビクトリアエ・レギナエ、附属書II)の2種だけが掲載されています。自分の扱う種が該当するかは、経済産業省が公開している附属書の植物リスト、またはCITES事務局のデータベース「Species+」で学名を検索して確認してください。附属書に掲載されていなければ条約上の手続きは不要ですが、税関が確認しやすいようインボイスに学名と人工繁殖である旨を記載するよう求められています。

国内取引には手続き不要

ワシントン条約は国際取引を規制する条約なので、国内で人工繁殖株を売買するだけなら条約上の手続きはありません。ただし、輸入株を仕入れて販売する場合は、輸入時に適法に手続きされた株かどうかを仕入先に確認しておくことが、購入者への説明責任の面で重要です。

出典:経済産業省「ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き」(https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_im.html)、同「ワシントン条約規制対象種の調べ方」(https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/06_washington/cites_search.html)。確認日:2026年9月10日。


4. 外来生物法:特定外来生物の植物

特定外来生物に指定された種は、飼養・栽培・保管・運搬・販売・譲渡が原則として禁止されています。植物では、水草として流通していたボタンウキクサ、ナガエツルノゲイトウ、ブラジルチドメグサ、オオフサモ、ミズヒマワリ、アゾラ・クリスタータ、エフクレタヌキモ、ルドウィギア・グランディフロラ、陸生ではオオキンケイギク、オオハンゴンソウ、ナルトサワギク、アレチウリなどが指定されています。多くは茎や根を含む個体全体が規制対象です。

水草や湿地性植物を扱う生産者は、仕入れた株に特定外来生物が混入していないか(特に浮草・抽水植物)を確認してください。指定種の最新リストは環境省のページで確認できます。

出典:環境省「特定外来生物等一覧」(https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html)。確認日:2026年9月10日。


5. そのほか販売者に関係する法律

  • 種の保存法:国内希少野生動植物種に指定された植物(野生ランの一部など)は、譲渡や販売が規制されています。国内の野生植物を無断で採取して販売する行為は、種の保存法のほか自然公園法や森林法(森林窃盗)に触れるおそれがあります。海外の現地球(野生採取の輸入株)を扱う場合は、輸入時の検疫とワシントン条約の手続きを経た株であることを説明できるようにしてください。
  • 特定商取引法:反復継続して通信販売を行う場合は事業者として、氏名(名称)・住所・電話番号などの表示義務があります。ボタちょくでは生産者プロフィールに事業者情報を掲載できます。
  • 景品表示法:「必ず発根」「病気知らず」など根拠のない断定表示は優良誤認にあたるおそれがあります。
  • 農薬取締法・肥料法:株と一緒に薬剤や肥料を小分けして販売する場合は、登録・表示の規制があります。

ボタちょくで販売するときの確認リスト

  1. 品種名は正確か。登録品種なら「登録品種」の表示と登録番号を出品文に書いたか
  2. 登録品種を増殖して販売する場合、育成者権者の許諾を得ているか
  3. 輸入株は輸入検査を受けた株か。土付きで持ち込まれた株ではないか
  4. ワシントン条約の附属書掲載種は、輸入時の許可書等が確認できる仕入先から入手したか
  5. 特定外来生物や国内希少野生動植物種に該当しないか
  6. 「必ず」「絶対」など根拠のない断定を出品文に書いていないか

法令は改正されます。この記事の内容は確認日時点のもので、判断に迷う場合は農林水産省・植物防疫所・経済産業省・環境省の窓口や専門家に確認してください。

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ボタちょく編集部

植物の栽培情報を専門に扱うボタちょく編集部。繁殖・園芸の各分野を取材し、初心者にも分かりやすい記事をお届けします。

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