塊根植物 実生 vs 取り木(高取り)|違い・メリット・デメリットを徹底比較
塊根植物の増殖方法「実生(種から育てる)」と「取り木(高取り)」の違いを徹底比較。パキポディウム・アデニウム・ユーフォルビア等での実際の手順、コスト、成功率、メリット・デメリットを詳しく解説します。塊根植物の増殖方法 塊根植物(コーデックス)を手に入れる・増やす方法として代表的なのが「実生(みしょう)」と「取り木…

この記事のポイント
塊根植物の増殖方法「実生(種から育てる)」と「取り木(高取り)」の違いを徹底比較。パキポディウム・アデニウム・ユーフォルビア等での実際の手順、コスト、成功率、メリット・デメリットを詳しく解説します。塊根植物の増殖方法 塊根植物(コーデックス)を手に入れる・増やす方法として代表的なのが「実生(みしょう)」と「取り木…
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塊根植物の増殖方法
塊根植物(コーデックス)を手に入れる・増やす方法として代表的なのが「実生(みしょう)」と「取り木(高取り・エアレイヤリング)」の2つです。どちらも個性的な株を作り出せますが、それぞれに特徴・メリット・デメリットがあります。
この記事では両方の方法を詳しく比較し、あなたの目的に合った方法選択の参考にしてもらいます。
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実生(種から育てる)とは
実生(みしょう)とは、種子から植物を発芽させ、一から育てる方法です。英語では "seed growing" または "seedling"(実生苗)と表現されます。
実生の特徴
- 唯一無二の個体: すべての実生苗は遺伝的に異なり、親株と同じ形状にはならない
- 時間がかかる: 鑑賞できるサイズになるまで数年〜10年以上かかる場合がある
- コストが低い: 種子は数百〜数千円で入手でき、多数の株を作れる
- 法的メリット: CITES(ワシントン条約)規制下の種でも国内実生株は輸入許可が不要
実生の手順(パキポディウムを例に)
Step 1: 種子の入手と準備(4〜6月)
- 信頼できる国内生産者または海外種子専門店から種子を入手
- 種子を温水(30〜35℃)に12〜24時間浸漬(吸水促進)
- 殺菌剤(ベンレート1000倍)に30分浸漬
Step 2: 播種
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用土 | バーミキュライト or 鹿沼土(細粒)単用 |
| 温度 | 発芽適温28〜32℃(ヒートマット使用推奨) |
| 管理 | 腰水で用土を常に湿らせる |
| 播種深さ | 種子の直径分(浅め) |
Step 3: 発芽〜育苗
- 発芽まで: 3〜10日(温度・種の新鮮さによる)
- 発芽後: 徐々に光を増やしながら育苗
- 腰水卒業: 本葉が2〜3枚になったら通常管理へ
Step 4: 鉢上げ〜成長管理
発芽後6ヶ月で1〜2号鉢に移植。以降は年1〜2回の植え替えで塊根を育てていきます。
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取り木(高取り・エアレイヤリング)とは
取り木(高取り)とは、親株の幹や枝の一部に発根させ、切り離して新しい株として独立させる方法です。英語では "air layering"(エアレイヤリング)といいます。
取り木の特徴
- 親株のクローン: 親株と同一の遺伝子を持つ個体が得られる
- 既存の塊根が活かせる: 親株の幹の一部がそのまま塊根として利用できる
- 比較的短期間: 発根まで1〜3ヶ月、切り離し後すぐに鑑賞価値がある
- 親株へのダメージ: 正しく行えば親株は回復するが、リスクがゼロではない
取り木の手順(パキポディウム・アデニウムを例に)
適期: 5〜8月(気温が高く発根しやすい時期)
必要なもの
| アイテム | 目的 |
|---|---|
| 切り込み用ナイフ | 環状剥皮 |
| 発根促進剤(ルートン等) | 発根促進 |
| 水苔(ミズゴケ) | 発根部位の湿度保持 |
| アルミホイル or ラップ | 水苔の保護・固定 |
| 結束バンドまたはテープ | 固定用 |
Step 1: 環状剥皮(かんじょうはくひ)
- 発根させたい位置(幹の中間〜上部)を選ぶ
- 幹の直径の1.5〜2倍の幅で樹皮を環状に剥ぎ取る(形成層まで)
- 剥皮部分を清潔なナイフで滑らかに整える
- 発根促進剤を剥皮部分に薄く塗布
Step 2: 水苔の巻き付け
- 水苔を水に浸けて絞り(絞りすぎず適度な湿気を保持)
- 剥皮部分を囲むように水苔をたっぷり巻く(野球ボール〜グレープフルーツサイズ)
- アルミホイルかラップで全体を覆い、上下をしっかり密閉
Step 3: 発根確認と切り離し
- 発根まで: 4〜8週間(温度・種類による)
- 確認方法: アルミホイルを少し剥いで根が見えるか確認
- 根が十分に発育したら(5cm以上の白い根が複数本)、取り木部位の下で切り離す
Step 4: 切り離し後の管理
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実生 vs 取り木:徹底比較
| 比較項目 | 実生 | 取り木 |
|---|---|---|
| コスト | 低(種子数百円〜) | 中(材料費のみ) |
| 鑑賞まで | 長い(3〜10年以上) | 短い(数ヶ月〜1年) |
| 個体の多様性 | 高い(全株異なる) | 低い(親株のクローン) |
| 塊根の形状 | 種から自然形成 | 親株の幹が塊根に |
| 成功率 | 高い(70〜90%以上) | 中〜高い(種類による) |
| 技術難易度 | 低い | 中程度 |
| 親株へのダメージ | なし | あり(適切に行えば回復) |
| CITES対応 | 国内実生は自由 | 輸入株には適用不可 |
| 適する目的 | 大量増殖・多様な個体 | 特定クローンの複製 |
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どちらを選ぶべきか
実生をおすすめする場合
- 時間をかけてゆっくり育てることを楽しみたい
- 低コストで多くの株を作りたい
- 種から独自の塊根形状を育てたい
- CITES規制の厳しい種を合法的に入手したい
取り木をおすすめする場合
- 気に入った親株の形質を複製したい
- 比較的短期間で鑑賞価値のある株が欲しい
- 親株の枝が伸びすぎて樹形を整えたい
- 発根管理の練習を兼ねて行いたい
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実生・取り木に適した主な種
実生向き(国内実生が盛ん)
- パキポディウム・グラキリス: 国内実生株の供給が豊富
- アデニウム全種: 種子の流通が多く、発芽が比較的安定
- ユーフォルビア・オベサ: 実生で球体の形状を楽しむ
- ボスウェリア(乳香): 実生でゆっくり育てる珍しい種
取り木向き(幹が発達しやすい)
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注意点:CITES規制について
輸入されたベアルート株(ワシントン条約付属書掲載種)に取り木を行い「国内育成株」として扱うことは法的にグレーな行為です。国内での実生管理や、正規輸入された栽培株への取り木は問題ありませんが、取り木株の販売には原株の輸入許可書が紐づいていることが重要です。
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まとめ
実生と取り木はどちらが優れているというわけではなく、目的に応じて使い分けるのが最良のアプローチです。
- 時間・多様性・コスト重視 → 実生
- 親株の複製・短期間鑑賞 → 取り木
両方の手法を理解しておけば、コレクションの幅が大きく広がります。ぜひ挑戦してみてください。




